時代にあった遺伝子を持って生まれるか。それが人生を左右する?

一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比較することで、
人の性質や能力に遺伝が及ぼす影響を解明する研究がある。

遺伝子が100%同じ一卵性双生児と50%同じ卵性双生児。
同じ環境で育った一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比べて、
一卵性双生児の方が似ているのであれば、遺伝の影響と言える。

行動遺伝学を研究する安藤寿康氏によると、
この双生児法によって解明された遺伝の影響割合は次のとおり。
なかなか刺激的な数値が並んでいる。

また安藤氏の「日本人の9割が知らない遺伝の真実」によると、
日本人男性の収入への遺伝の影響に関する研究結果もあり、

就職し始める20歳ぐらいのときは遺伝(20%程度)よりも共有環境(70%程度)がはるかに大きく収入の個人差に影響していることが示されました。ところが年齢が上がるにつれ、その共有環境の影響はどんどん小さくなり、かわりに遺伝の影響が大きくなって、最も働き盛りになる45歳くらいが遺伝の影響のピーク(50%程度)になり、共有環境はほぼゼロになるのです。

裕福な家に生まれた人は若い頃はコネなどの恩恵があるが、
実力が問われる働き盛りの年齢では遺伝の影響が強くなる。
つまり生まれた家の貧富の差より遺伝の差が生涯収入を決める。

そして一般的には教育は格差をより小さくするためというイメージだが、
教育により環境面の差を小さくすれば、逆に遺伝的な差が顕在化すると指摘。

教育が一部の人にしか与えられないときは、能力や知識の個人差は、その教育を受けたか受けなかったかという環境の差で説明される割合が大きいでしょう。しかし教育があまねく行き届いたとしたら、そのときに顕在化するのが遺伝的な差なのです。

行動遺伝学が示す研究結果は、

  • その時代が求める才能にあった遺伝子を持って生まれるかどうか。
  • そして生涯のうちにその遺伝的な特性を発揮する機会に出会うかどうか。

が人生の成否を分けるポイントということになるだろうか。

目を背けたくなるような現実を突きつけられた印象だが、
かつてマキャベリが「君主論」の中で名君の法則としてかかげた

  • 運命(Fortuna/フォルトゥーナ)
  • 力量(Virtu/ヴィルトゥ)
  • 時代性(Necessita/ネチエシタ)

という3つのキーワードに近しいものが感じられる。
※以下の引用は塩野七生「マキアヴェッリ語録」より

名声に輝く指導者たちの行為を詳細に検討すれば、彼らがみな、運命からは、機会しか受けなかったことに気づくであろう。・・・機会に恵まれなければ、彼らの力量もあれほど十分に発揮されなかったであろうし、また力量を持ち合わせていなければ、機会も好機にならなかったのである。

運命は変化するものである。それゆえに人間は、自分流のやり方を続けても時勢に合っている間はうまくいくが、時代の流れにそわなければ失敗するしかない、ということである。

なんとなく分かっていたことが科学的に証明されたということかな。