人工知能は既得権益を破壊するだけ

人工知能が人の仕事を奪う。
昨年あたりから経済誌などでこの手の題の特集が増え、
本屋へ行けば類書が平積みで並んでいる。

しかし昨年6月に経済産業省が発表した報告書によると、
2015年時点ですでにIT人材の不足は17万人で2019年以降は不足が深刻化。
その不足数は2020年には37万人、2030年には79万人に達するという。

人工知能を活用するためには絶望的に人材が足りない。
消えていく仕事もあれば、新たに生まれる仕事もあるということだ。

私が以前生息していた税理士業界でも似たようなことが起きていた。

20世紀の税理士は税金の計算と申告書の作成が評価の対象だった。
しかしパソコンの普及とともにその手の仕事はソフトウェアで自動化され、
今では経営者の良き相談相手となれなければ生き残りは難しい。
※税金計算と申告書作成だけの仕事も今も残るが価格競争が激しい

つまりIT技術の進展により、かつての税理士の仕事が、
税に関するコンサルティングと会計ソフト開発に引き継がれたということ。
ありがちな言い方をすれば、既得権益が破壊されたということだろう。

また人工知能関連で私が一番関心を持っているのが、
古典の続け字・くずし字のパターンを人工知能に学習させて、
現代人が読みやすくテキスト化していくプロジェクト。

限られた専門家しか読めなかった古典が誰でも解読可能になる!
このプロジェクトの第一弾として江戸時代の卵料理レシピが対象となり、
現代の食材を用いた再現レシピが公開されている。

和食の料理人たちが新たな献立を考案する助けとなるだろう。

以上のように考えていくと、
ケヴィン・ケリーが「インターネットの次に来るもの」で語ったように、

歴史上、何かを発明するのにこんなに良いときはない。いままでこれほどのチャンスや、いろいろな始まりや、低い障壁や、リスクと利得の格差や、収益の高さや成長が見込めるタイミングはなかった。いまこの瞬間に始めるべきだ。いまこそが、未来の人々が振り返って『あの頃に生きて戻れれば!』と言うときなのだ。

人工知能の発展を危機ではなく好機と捉えるべきと言えるだろう。