特に目新しい投資法ではないESG投資

世間ではESG投資が盛り上がっているように語られている。
だが長期投資家がごく当たり前に行う思考回路に、
新たな切り口が登場しただけと考えることもできる。

ESG投資は財務情報に加えて企業を3つの要素で評価しようという試みで、

  • Environment(環境)
  • Social(社会)
  • Governance(ガバナンス)

ごくシンプルにその心をまとめると。
企業は「ガバナンス」を燃料に「事業」を回し「利益」を生み出すものであり、
事業を動かす歯車には「環境」や「社会」もあるはず、という捉え方。

つまり会計情報には現れてこない企業価値を非財務情報で探り、
長期的に業績、株価ともに右肩上がりの企業を探して投資するということ。

これはESG情報にかぎったことではなく、ブランドや技術力に着目するのも同じだ。
たとえばバフェットが1993年度版の株主向けの手紙で語っていた、
コカ・コーラやジレット(現在はP&G)のブランド価値を評価するのと何ら変わらない。

“The might of their brand names, the attributes of their products, and the strength of their distribution systems give them an enormous competitive advantage, setting up a protective moat around their economic castles.The average company, in contrast, does battle daily without any such means of protection. “

無形資産を踏まえた企業価値評価という目指す方向は同じであり、
また財務情報と非財務情報を組み合わせた投資が長期投資家の理想なのだ。
だからESG投資は特別目新しいものではなく、王道を行くごく当たり前のもの。

しかし問題は数値で表しにくいものを客観的に分析するのが難しいこと。
多くの投資家は財務分析に偏ってしまっているのが現状ではないだろうか。

そんな悩みに手を差し伸べたのがESG投資を取り巻く環境。
たとえばBloombergのような金融情報サービス会社が2009年から、
ESG情報をデータベース化し、投資家へ提供をしている。※参考資料

もともと環境・社会に配慮した企業が長期的に生き残るのは当然のことだし、
同業他社比較も可能なデータベースがあるなら、これに取り組まない手はない。
よって導入初期の段階ではブームのようになるのはごく自然ともいえる。

ただふと疑問に思うこともある。
これからの世の中を考えたとき、なぜ非財務情報に基づく投資を目指すのかと言えば、
客観的な数値で分析可能な運用手法は、人の手から離れるという事情もあったのでは?

ESG情報のデータベースが整備されていくにつれて、
今週月曜日にGPIFがESG指数によるパッシブ運用をはじめたように、

指数ができれば後は機械的に売買するだけ、という方向に流れてしまうのでは…。
運用の世界で人の手に残るものは何だろう?と考えさせられる。