私が投資を人に勧めたい訳・3(増えない給料の穴埋めに!)

投資なんて危険なものを人に勧めるな!と批判を受けたことで書きはじめたシリーズ。

世の中のお金の流れを知る機会を持って欲しいというのが前回の話。
これに続けて世の中の仕組みについての私なりの解釈を1つ。
以下は私たちと企業との関係をごく簡単に図解したものだ。


自ら意志をもって投資をしているかどうかに関わらず、
給与天引きされた社会保険料を原資とした国の年金運用を通じて、
私たちは誰もが投資家であることを忘れてはいけない。

  • 投資家…企業に対し利益をあげ、株価を上昇させることを求める
  • 労働者…企業に対しもっと給料を上げることを求める
  • 消費者…企業に対し良いものを安く提供することを求める

だが企業はこの3者からの要求に同時に答えられることはできるだろうか?

日本人は世界一、品質にうるさい消費者とも言われる。
世界的に進む高齢化を背景に年金運用の投資家の要求は厳しい。

また最近では国をあげて企業のROE向上をうながす雰囲気もあり、

労働者への還元が一番後回しにされてしまいそうに思える。
増えない賃金の背景はこんなところにあるのかもしれない。

この仮説を信じるなら、低く抑えられた給与を株式投資で取り返す!
というような発想があってもいいのではないだろうか。

そしてもし日本人が投資に対して関心が薄いままであれば、
削られた給与は海外の投資家に持っていかれてしまうことになる。

だから投資でお金を稼ぐことは別に後ろめたいことではない。
十数年前にドラマ化された石田衣良「波の上の魔術師」で、
老投資家が主人公の若者に投げかけた言葉が私の想いを代弁してくれている。

別に金をもつことは恥ではない。日本の総資産8,000兆円は、戦後半世紀かけてこつこつと積みあげられた大切な資産だ。それはわたしたちの世代から、きみたちの世代に受け継がれていくだろう。きみたちにはその資産をより豊かに育て、つぎの世代に受け渡す責任がある。・・・わたしは若い世代の数パーセントが、単なる投資の取り次ぎ業務でなく、自分自身でリスクを負ってマーケットの荒波にのりだしていくといいと考えている。生き残る人間がそのさらに数分の一でも、彼らは自らの利益とこの国の富を殖やすための貴重な戦力になるだろう。」(石田衣良「波の上の魔術師」

ちなみに多くの人が勘違いしているが、
投資をはじめるにあたり100万円単位の大金は必要なく、
投資信託は100円から自販機で飲み物を買うレベルの感覚と変わらない。

最後にこの戦略の前提として、
「投資家が得られる利益と会社の事業利益が比例関係にあること」
が成り立つ必要があり、だからこそ長期投資が重要という話になる。

長期的に見れば、株式から得られるリターンは、企業が生み出す比較的予想しやすい投資リターンという現実にかなり近いということだ。まったく予想のつかない市場参加者の判断が、一時的な株価や、投機リターンをもたらすPERの変化に影響を与えることはあっても、本質的な影響はまったくないのだ。長期で見ると、株式リターンを支配するのは企業の経済性であり、短期的には感情が支配していても、いずれその効果は消滅する。」(ジョン・C・ボーグル「波乱の時代の幸福論」