内向き思考による海外留学減少という誤解

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数年前に「若者が内向きだ!」という反論材料として、

なんて記事で統計データを紹介した。

留学の増減とGDPに関係はなし

ふと思い出して最新データを集めてみたのだけど、
当時は動きが似ているかなと重ね合わせた実質GDPは、
2009~2014年のデータを加えてみると関係性は希薄だった。

留学生の増加を示すデータもある

また2009年以降については従来のOECD等の統計データのほかに、
JASSO(日本学生支援機構)発表のデータがあることを知った。
これを加えてみると奇妙なことが起こる。

数値もベクトルもまったく異なり意味不明の状態。

ちなみにJASSOでは留学期間別のデータをとっており、

1ヶ月未満の短期留学が近年大幅に増加していることが見てとれる。
海外へボランティアにでも出かけているのだろうか?

まぁ研究目的以外なら特定の国に長居するよりも、
いろいろな国へ出かけて見聞を広めた方がいいだろう。

内向き思考の根拠とされるデータはこれか?

世間で若者の海外留学が減り、内向きになったという根拠のデータは、
おそらくアメリカへの留学者数の推移のことを言っているのだろう。

OECDのデータに日米教育委員会がまとめたデータを重ね合わせると、

たしかに21世紀に入ってから右肩下がりになっている。

でもアメリカ留学の減少から日本の若者が内向きと判断するのは、
アメリカが最も進んだ世界の中心地と捉え、
日本もアメリカを目指して拡大・成長を続けなければならない、
とする20世紀的な思考に囚われているだけではないかと思う。

むしろ今の感覚は、平安時代に唐の勢力の衰えに合わせて、
遣唐使を廃止した当時の感覚に近いのではないだろうか。

いずれにせよ世間の論調は主張したい結論が決まっていて、
それに合わせたデータを探して自説を補強するというパターンだから、
鵜呑みにせずに、自分で調べてみるというのが大事ってことかな。

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