豊田きいち「編集」を読んで思う。人生もまた編集なのだ。

小学館で40年近く編集者を勤めた方の編集に対する想いに触れた。
週刊少年サンデーの初代編集長として有名なのだとか。

2012年中に本書の原稿となるインタビューが完了していたが、
直後に豊田氏が他界、2016年にようやく出版されたという一冊。

裏表紙には「すべての編集者、必読!」と書いてあるが、
IT革命後の情報洪水に直面する私たちすべてに必読なのでは?

編集力がなければ情報の取捨選択は不可能だ。

また発明や仕事など様々な場面で問われる発想力にも編集力は重要。

さらには人生の幸不幸すら記憶をいかに編集するかで変わってしまう。

ゆえに著者の言う「いい企画を立てられる編集者になれるかどうか」とは、
そのまま「いい人生を送ることができるかどうか」と読みかえていいはず。

一体、どういうタイプの編集者が、いい企画を立てられるのだろうか。それも、やはり、他者と差別化された編集者になることである。この差別化に必要なのは、連想能力である。連想能力に必要なのは、豊富な語彙である。語彙を増やすということは、雑読・雑学で培質すること。そして、言葉を粗末にしないこと。常に、言葉を意識していく、ということである。」P75
※培質…著者の造語で後天的に身につけた資質

差別化連想語彙(言葉)が三位一体となっていい企画ができる。
そしてこれらのなかでも最も大切なのが連想だという。

企画を立てるために、最も重要な素質は、「連想」である。この連想能力があれば、何を見ても、何を読んでも、企画に結びつけることができる。」P64

人生もまた同じ。

連想は教養を広げていくのに不可欠と言えるし、
上記で紹介した記憶を星座のごとく繋げていく際にも大切だ。

古典や日本文化に答えを求めるのであれば、

のように連想には負の感情から立ち上がる強さがあり、
「見立て」の美学は人生を豊かにしてくれる。

また差別化と語彙が大切なのは当たり前。
教養がなければ烏合の衆となり、搾取される人生となるだろう。

味わいある豊かな人生を送るには「数寄」の精神が必要なのだ。

安心感を求めて群れるのではなく、好きなものを見つけて貫き通す。

もちろんそれが成功への直結を保証するものではない。
でも好きなことを我慢して、妥協しながら人生を終えるよりも、
好きなことを追求して、敗れた人生の方が後悔しないはずだ。

生きることは編集することに似ているのかもしれない。
私たち1人1人が自らの人生の編集者なのだ。

こんなことを頭に入れた上で編集者の著作を読むと、
また違った味わいになること間違いなし!