行動経済学の根底にある、心理学の研究成果に問題あり?

行動経済学の分野にも浸透している心理学の研究成果。
でもそれが現在では、被験者が欧米の大学生に偏っているため、
全人類共通ではないことが文化心理学者によって確認されている

たとえば「認知的不協和」と呼ばれる心理現象。

を説明する際にも登場する話で、

  • 株価の上昇を信じて投資をする
  • 投資後に株価が下落する

という矛盾に直面したときに生ずる不安を解消するために、
どちらかの事実を否定して、矛盾を解消しようとすること。
多くの投資家は株価の下落を否定し、損切りできなくなる。

ところがこの認知的不協和は東アジア人には当てはまらない。
なんて研究成果が近年、明らかになっていたことを知った。

北米と東アジアの被験者を用いた同じような異文化間の心理学研究により、多くの思考スタイルの違いが明かにされた。たとえば、認知的不協和〔矛盾する考えを同時に抱くことによってもたらされる不安〕といった、かつては人類共通と考えられていた心理現象が、非欧米人〔とくに東アジア人〕にはあまり見られないか、まったく見られないことがわかった。また、他の研究から、注意、記憶、知覚といった基本的なプロセスの違いが明らかにされた。例えば、東アジア人は事物の位置関係の記憶に優れているが、欧米人は単体の特徴の記憶に優れている。心理学者のリチャード・ニスベットらは、こうした東洋と西洋の違いはある特徴によって説明できると主張した。東アジア人の思考スタイルは「全体論的」で、欧米人の思考スタイルは「分析的」だというのだ。
---アレックス・メスーディ「文化進化論」P24

よくよく考えれば当たり前のことだが、
社会が異なれば人間の心理作用も大きく異なるはずだ。

となると損切りできない日本人投資家の心理は、
認知的不協和というよりも、災害に対するあきらめに近いものかも

日本人は自然のあちこちに神を宿すのが特徴で、
地震や台風、火山の噴火などの自然災害も神様のやることだから…
というように、どこかであきらめているようなところがある。

ギリシア哲学以降、神・自然・人と切り分けて考えた西洋は、
将来に対するリスクを積極的に制御しようと試みる。

一方、日本は歴史的に将来のリスクに対する備えの意識は希薄で、
災害が起きれば、せつないね、はかないね、と受け入れて、
和歌に悲しみを詠んでみたり、お茶をたてて心を落ち着けようとする。

だから何か行動を起こそうとして損切りできないのではなく、
起きてしまったことをただ眺めているだけなのかもしれない。