地学と美食の魅惑のコラボ/巽好幸「和食はなぜ美味しい」

巽好幸和食はなぜ美味しい」。
副題に「日本列島の贈り物」とあるように、
豊かな和の食材は地震や噴火と引き替えに得たものだった!

マグマ学者が新たな気付きを与えてくれた一冊。
今年読んだ本の中で一番おもしろかった。

まずは出汁の話からはじまるが、
河川の勾配が水の硬度に影響を与えることを指摘し、
硬水のヨーロッパと軟水の日本を比較するのはよくある話。
※軟水でないと昆布のうま味成分が溶け出しにくい。

だが著者はマグマ学者ならではの視点を盛り込んでくる。
日本が島国にもかかわらず山国になった要因を説明。

  • 日本列島の下にプレートが潜り込むためにマグマが発生し、
  • マグマは火山活動を起こすと同時に地殻を厚く成長させた。

地学的な見地から軟水の恩恵を知ることができる。

このほかにも以下のように、

  • ボタンエビが好む深海湾の駿河湾は伊豆半島の衝突と南海トラフのわん曲からできた。
  • 氷河期に京都周辺が内海化したことでできた地層が美味しいをもらたした。
  • 淡路島がダムの役割を果たすことで明石海峡が天然の生け簀になり、明石鯛が美味しい。
  • 昆布は北極海にルーツがあり、プレートにのってやってきた。

と地学と美食の関連性を次々と読み解いてゆく。

最後に先日の熊本地震とも関連する話としては、
火山・温泉が集中する「別府-島原地溝帯」とフグとの関連。
有明海に雲仙岳があることで、干満の差が大きくなり、
そのことでフグにとって格好の産卵場所になっているのだとか。

日本に生まれた以上、自然災害と無縁の人生を送ることは難しい。
ならばその引き換えに得られた和食と温泉を堪能したいものだ。