植物は<知性>をもっている

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植物に知性はあるのか?

そう問われてふと思い出すのは「CSR三角形仮説」。
CSRといっても”Corporate Social Responsibility”ではなく、
植物の生存戦略を3つに分け、その頭文字を取ったもの。

  • Competitive(競争戦略)…生育環境が良い場所では、競争に勝った強い植物が生き残る。
  • Stress tolerant(ストレス耐性戦略)…苛酷な環境をニッチとして生き残りを計る戦略。
  • Ruderal(撹乱依存戦略)…予測不能な厳しい環境変化に対応して生き残りを計る戦略。

植物の知略に富んだ生き方を知っていたので、
動物と植物の知性に優劣がないことはなんとなく分かっていた。

でもステファノ・マンクーゾとアレッサンドラ・ヴィオラの共著
植物は<知性>をもっている
を読んで新たに気づかされた植物の高等さは、

植物の生理は、動物の生理と異なった原理に基づいている。動物は、脳、肺、胃など少数の器官にもっとも重要な生命機能のほとんどすべてを集中させるといった進化を遂げてきた。それに対して植物は、簡単に捕食されてしまうことを考えて、いくつかの中心的部分に全機能を集中させないようにした。」P54

これは投資家がよく知る分散投資の考え方だし、
インターネットも植物によく似たネットワーク構造だ。
どちらも人類がここ100年の間にようやく築いたリスク回避戦略。
それが植物にはあらかじめ内包されていたということだ。

警報を発する植物として有名なのはトマトだろう。トマトは、草食の昆虫に襲われると、数百メートルも離れた場所に生えているほかの植物にも届くほどの大量のBVOC(Biogenic Volatile Organic Compounds = 生物由来揮発性有機物)を出す。」P83

また植物の発する香りは言葉のようなものでもあるし、

植物は自分のテリトリーを守るため、エネルギーの多くを地中部分の成長に傾けている。こうして軍事力で圧倒し(つまり大量の根を生やして)、土地を占有する。ところが植物同士はいつも戦うわけではない。・・・植物は攻撃や防御を行う前にライバルの素性を調べ、遺伝子が似ているとわかったら、戦うよりも手を組む方を選ぶことがわかったのだ。」P128

同じ種でありながら殺し合う人間よりも理性的なのでは?

本書を読むことで知性や学習、コミュニケーションといった能力は、
動物の専売特許ではなく、植物にも共通していることが分かるだろう。
そして「人類>他の動物>植物>無生物」といった固定観念を捨て、
人類と異なる知性モデルの植物に問題解決のヒントが見出せるかもしれない。

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