百人一首

百人一首

藤原定家は百人一首の編者ではない?/田渕句美子「百人一首」

百人一首は和歌の魅力が凝縮された不思議な歌集。 鑑賞本が出版されるたびに買ってしまうのだけど、 今回手にしたのは最新研究も紹介された一冊。 田渕句美子「百人一首 編纂がひらく小宇宙」 日本人で知らない...
百人一首

百人一首は記憶力ではなく教養を試されるもの

百人一首の本を見つけるとなんとなく買ってしまう。いったい何冊あるのか数えてみると、こんなにあった。 水原紫苑「百人一首 うたものがたり」(2021) 最果タヒ「百人一首という感情」(2018) 阿刀田...
日本の神様と昔話

伊吹山の神様とその息吹がもたらす薬草。

次なる日本文化探求の旅は滋賀に決めた。予習を進めるうちに気になったのが伊吹山。 伊吹山を結ぶ神社と史跡 ヤマトタケルが草薙剣を持たずに伊吹山の神を討伐に出かけ返り討ち。尾張国の妻ミヤズヒメの元に草薙剣...
百人一首

百人一首せんべいを片手に、日本史の不思議に思いをはせる。

私が好きなおせんべい屋「長岡京 小倉山荘」。 この店は百人一首をモチーフにした包装に特徴があり、ウェブサイトは和歌のコラムが充実の内容で、メールマガジンに登録すると宣伝の合間に下記の連載が届く。 『小...
百人一首

セレンディピティとはめぐり逢うこと。

「セレンディピティ」という言葉の持つ意味が、人生の本質を突いているように思えた。 しかしカタカナ語をこれ見よがしに振りかざす人間ほど信用できないものはない。他の人々に理解しにくい言葉を使うことで、優越...
百人一首

愛ゆえに気付く命の尊さ/百人一首50「君がため…」

百人一首の恋歌で、なんとなく親しみがわくのは、陽成院の「恋ぞつもりて…」とこの一首だ。 君がため 惜しからざらし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな あなたのためなら、命も惜しくないと思っていた。 で...
万葉集

もみじが「黄」から「紅」に変わる頃に/百人一首24「紅葉の錦 神のまにまに」

もみじの語源 かつて日本人は 無文字社会からの移行期の万葉仮名の時代、 木の葉が色を変えることを「モミツ(毛美都)」と呼んでいた。 それが「モミチ(毛美知)」と名詞化し、万葉集の時代になると、 「黄葉...
百人一首

長谷観音に願いをかけて/百人一首74「初瀬の山おろし」

うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを 金葉和歌集の撰者、源俊頼(1055~1129)の一首。 初瀬は現在の奈良県桜井市の地名でもあり、この地の長谷寺に祀られる十一面観世音菩薩...
万葉集

万葉人の桜/百人一首61「奈良の都の八重桜」

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな 藤原道長の娘で一条天皇の中宮・彰子に仕えた歌人の一首。奈良から宮中(九重)に献上された八重桜を愛でている。 平安時代には京都では八重桜は珍し...
万葉集

神の山になびく洗濯物?/百人一首2「天の香具山」

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 持統天皇(645~702)の一首で、万葉集(巻1・28)に収録されている。 この時代の都は現在の奈良県橿原市の藤原京にあり、そこから東に香具山、...
食文化と美食探訪

七草の習慣が庶民に広がるのは平安末期?/百人一首15「若菜摘む」

君がため 春の野に 出でて若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 百人一首に収録される光孝天皇(830~887)の和歌。 意味を知らずに読むとなぜ天皇が葉を摘んでいるのか?となるが、実はここでの「若菜」と...
百人一首

12,000首からの100首。百人一首は定家の記憶力の賜物?

百人一首に収録された和歌の引用元の勅撰和歌集を辿ってみると、百人一首成立以前の勅撰和歌集からまんべんなく採られていた。 もしかすると撰者とされる藤原定家は、過去の勅撰和歌集に収録された和歌をだいたい覚...
百人一首

立花宗茂と小野篁、日本史上稀な復活劇。

柳川藩主立花邸「御花」で結婚式をした。この地を治めていた立花家の別邸だった場所に、立花家16代が旅館と料亭の営業を開始し現在に至る。※挙式の担当者がなんと立花家18代目にあたる方だった。 立花家2代目...
百人一首

陽成院の生きた時代/百人一首13「恋ぞつもりて…」

小倉百人一首13番目に収録される陽成院の和歌。 筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 筑波山の峰から流れる男女川の水が集まり、 やがて淵となるように、 あるかないか小さな恋心が積...
百人一首

散る桜の和歌/百人一首33「静心なく花の散るらむ」

散り始めた桜。 その情景を詠った百人一首の和歌と言えば、 ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ 古今和歌集の撰者の棟梁、紀友則の一首。 上三句に穏やかな春の情景美を描く一方で、 下...
百人一首

小町が桜に込めた想い/百人一首9「花の色は…」

百人一首に収録された桜歌で代表的な和歌と言えば、 小野小町が詠んだこの歌だろうか。 花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に 美しい花もやがて散る…、私もおばさんになっちゃっ...
百人一首

用賀と百人一首の謎

世田谷美術館で「魯山人展」やってるよー! と誘ってもらって、初めて用賀の駅に降りて「?!」 まずは古代ローマの円形劇場風の階段がお出迎え。 そして駅から美術館のある砧公園までの道のりが凄い! 路面に百...
古今和歌集

紅葉の和歌といえば/百人一首17「ちはやぶる…」

紅葉の時期が近づいてきた。 東京でもほんのり色付きはじめた木も見かける。 紅葉の和歌といえば真っ先に思い浮かぶのが、 百人一首に収録される在原業平の一首。 ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれな...
百人一首

1000年以上も変わらぬ奇跡/百人一首7「三笠の山に…」

百人一首の暗記に挑戦したのは小学生の時。 恋はまだ分からない。日本語もあまり得意ではない。 そんな時期の私が一番最初に覚えたのが、 天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも 作者の阿...
百人一首

「待つ」とは信じ、祈ること/百人一首97「来ぬ人を…」

技術の進歩とともに、待ち時間の短い世の中になってきた。 だから人はしだいに待つことができなくなっていった。 混んでいる急行電車にムリヤリ乗ろうとする バス停で怖い顔をして立っている エレベーターのボタ...