日本の美意識

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主客未分の日本的感性/西田幾多郎「純粋経験」

デカルトの世界を読み解く方法の出発点は「我思う、ゆえに我あり」。 人の意識をあらゆる物事の基礎と捉え、主観と客観を切り分けた。 そんなデカルトを意識したのか、西田幾多郎(1870~1945)は、 主観...
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グラデーションの日本美

春は桜から新緑へ、秋は紅葉。 四季の恵みは日本人の色彩感覚も豊かにしたのかな。 色と色の「間」の「あわい」表現の数がハンパない。 和色大辞典 色だけではなく、水墨画や枯山水あたりからはじまる 光と影の...
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うつしの美学/夏目漱石「草枕」

夏目漱石。 当時の先進国に学ぶべく、文部省の命でイギリスへ留学するが、 英文学研究への違和感から、精神に異常をきたして帰国。 帰国後に「我が輩は猫である」を執筆し、文豪への道を突き進む。 自信満々のイ...
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花鳥風月の風は秋色

その起源は憂いに満ちた心を出入りしていた「花鳥風月」。 でも安土桃山時代以降、花鳥は障壁画、蒔絵、着物に舞い降り、 「花鳥の使い」が持っていた、あでやかな色合いを取り戻す。 そして今では、花鳥風月に関...
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花鳥風月の来歴。杜甫の春望からはじまった?

花鳥風月。 日本の風物を表す代表的な言葉として誰もが知っている。 ところで起源はどこにあるのか? 中国、唐・玄宗皇帝の時代(712~756年)、 天下の美女を選ぶために派遣した使者を「花鳥の使」と呼ん...
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無常が日本の古典を美しくした/唐木順三「無常」

日本の無常の系譜を描いた名著、唐木順三「無常」。 でも絶版で古本の入手も困難だから、読みたくなるたびに図書館へ。 お願いだから復刊してよー、筑摩書房さん!※追伸…今はKindleで読める 「無常を語る...
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「お客さまは神様」の文化的背景

神社に常駐する神はいない。 神がときおり訪れる際の仮の宿が神社。 (詳しい説明は原研哉氏の講演録が読みやすい) こんな日本の神の特徴を折口信夫は「マレビト」と呼んだ。 マレビト(客人・稀人)。つまり日...
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偶然の文化比較と九鬼周造「偶然と運命」

数学者が偶然や運命を計算で飼い慣らそうと必死だった歴史は、 ピーター・バーンスタインの「リスク」を読めば、なんとなく分かる。 では哲学者は偶然や運命をどう捉えていたのか? あるものが偶然と呼ばれるのは...
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和歌の連鎖で物語る・古今和歌集の編集術

「編集」に着目すると勅撰和歌集はすごい。 たとえば古今和歌集939-942の4首のかたまりが深い。 一首目は小野小町、残りはよみ人知らずによる和歌。 あはれてふ ことこそうたて 世の中を 思ひ離れぬ ...
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夢とうつつの古今和歌集…あいまいな日本の原点?

西洋的な善悪二元論の考え方との比較から、 自虐ネタとしてさらされる日本の「あいまいさ」。 でも私たちが金融危機やフクシマで痛感したことと言えば…。 現代社会の脅威は、あからさまな悪意を持つものではなく...
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「もののあはれ」と「をかし」/大野晋「古典基礎語辞典」

大野晋氏といえば「日本語練習帳」が有名だよね。 そんな日本語研究の大家、大野氏は2008年に亡くなったけど、 氏が自分の死後、できたところまでまとめて出版して欲しい、 と遺した作品が昨年出版された「古...
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自然を偏愛する日本人

お寿司系のお弁当に必ず入ってる緑色の「草もどき」。 橋などで見かけるコンクリートに着色した「樹木もどき」。 ふと気がつけば「自然もどき」が身のまわりにあふれている。 私たち日本人の自然の愛し方は実にヘ...
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一期一会の来歴/茶人・井伊直弼

茶道を表す有名な言葉といえば「一期一会」。 この来歴に意外な人物が登場するのはご存じだろうか? 村田珠光 → 武野紹鷗 → 千利休 と茶道の歴史は流れるが 紹鷗が茶会に招かれたときの心得として、 「一...
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はかなし/日本人が人生を発見したことば

日本人が人生の本質を発見したのはいつ頃のことか? こんな不思議な問いに答えるべく、過去の記事を総動員。 無常、あはれ、はかなし、とことばを軸に追ってみたい。 まず「万葉集」の和歌には神への捧げ物っぽい...
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ゾロアスター教の二元論vs日本の「間」

いつからか日本は極端な「善悪二元論」に走るようになった。 政治、原発などの難しい問題から、焼き肉屋のレバ刺しまで、 白黒はっきりつけることが正しいとは限らないのに。。。 「間」を大切にする心は一体どこ...
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日本文化形成のイメージ図

日本の文化、とくに美意識の系譜を探ろうと書いた最初の記事が、 桜と日本(2010/04/01) 追っかけをはじめて2年。 お風呂で突然、頭に浮かんだピラミッド図を整理すると… まず日本という国の最大の...
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花見と酒宴の歴史-桜の聖と俗

そうか。去年のように静かに桜を見上げることはできないんだね。 酔っぱらいと生ごみの狂宴が帰ってきてしまうのだ。。。 自粛ムードの中、静かに咲いた聖なる桜は、今年再び世俗に戻る。 今年は西行や梶井基次郎...
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雪裏の梅花只一枝なり/道元「正法眼蔵」

前回、紹介した菅原道真の漢詩「月夜見梅花」から、ふと連環。 道元の「正法眼蔵」には「梅華」と題した章がある。 中国に禅を学びに行った際に耳にした、 「瞿曇、眼晴を打失する時、雪裏の梅花只一枝なり。」 ...
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桜に込めた豊作の祈り

作品社の「日本の名随筆・桜」を手に入れた♪ このシリーズはテーマ事、近現代のエッセイが読めておもしろい。 山本健吉「花」に興味をひく一節があった。「桜の花が注目されたのは、むしろ別の生活上の必要、つま...
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月の日本史

「月は地球の近くにあったのに、だんだんわれわれから遠ざかっている。・・・われわれの遺伝子や脳には月がだんだん遠のいていったという古来の記憶が伝播されていて、それが月に対するはかなくやるせないおもいを駆...