日本の美意識

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中秋の名月よりも九月十三夜の月を愛でる

以前、古今和歌集に中秋の名月の和歌がないことに気がつき、竹取物語に絡めて、当時の月のイメージが原因では?と考えた。 中秋の名月を詠わない古今集。月が不吉な竹取物語。 付け加えるなら、そもそもこの頃の日...
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十六夜の月はためらいながら夜空へ

中秋の名月を前に月の古典をいろいろ調べていたら、満月の翌日の十六夜にまつわる認識がおもしろかった。 十六夜は「いざよい」と読む。これにまつわる目に止まった古典を2つ引用すると。 まずは源氏物語の夕顔よ...
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生きるまで生きたらば…/前田慶次「無苦庵記」

隆慶一郎「一夢庵風流記」の描写よって評価が一変した前田慶次。 「天下御免の傾奇者」として戦国時代に欠かせないスターとなった。 「無常→数寄→幽玄→わび・さび」という、日本の美意識の系譜。 思えばその対...
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【.ami】バブルの東山ルネサンス

現代に通ずる日本文化の原型のほとんどは室町時代に生まれた。 水墨画、和室、庭園、能、茶道、華道などなど…。 でもこれら文化を創造したのは貴族でも武士でもなく、 「阿弥」号を称した足利将軍のアミーゴ集団...
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イサム・ノグチに見る日本的方法

四国旅でイサム・ノグチ庭園美術館(高松市牟礼)へ訪問後、イサム・ノグチ(1904~1998)についていろいろ調べている。 「二つの国をもち、二重の育てられ方をした私にとって、安住の場所はどこだったのか...
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菅原道真の梅は飛び、桜は飛ばず?

和歌に詠われる春の花が梅から桜へ移る頃に、 梅を愛した菅原道真が政争に敗れ、都落ちをする。 菅原道真/梅が桜に変わる頃に 屋敷内の梅の木との別れを惜しんで詠んだ歌は、 後に主人を慕って梅の木が太宰府ま...
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「桜狩り」から「紅葉狩り」へ

紅葉狩り。 この表現の由来は「桜狩り」のようだ。 いつの時代からかは分からないが、紅葉と桜が入れ替わった。 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 散ればこそ いとど桜は めでたけ...
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秋は夕暮れ。心の情景を和歌に詠む。

春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。 言わずと知れた清少納言「枕草子」の季節感。 古今和歌集で特に美しい恋歌(484)、 夕暮れは 雲のはたてに ものぞ思ふ 天つ空なる 人をこふとて 遠い...
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しだれ桜は神の通り道/柳田国男「信濃桜の話」

柳田国男「信濃桜の話」にこんな一節がある。 「十年ほど前に世に出した信州随筆という本の中に、私はしだれ桜の大きなのが信州に多いということを書いた。しかしそれから気を付けて見ると、それは決してここだけに...
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日本が美意識に目覚めるとき/柳宗悦の民芸運動

その時代の先端をとことん追求した後に「美」に目ざめる。 日本文化史を追っていると、そんな場面によく出会う。 これまで見てきた代表的な人物の名をあげるなら、 遣唐使廃止後に紀貫之 戦国時代の終わりに千利...
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「月の顔を見るは忌むこと」の由来は白居易?

雪月花や花鳥風月など日本の伝統美を表す言葉には、 お決まりのように「月」を愛でる心がついてくる。 でも平安末期までは月のイメージは良くなかったのでは? 「竹取物語」の引用とともに、そんな話を以前書いた...
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初めての電子出版「日本の月と桜」

第2版のお知らせ(2015年1月13日)  去年、初めて出版した本を追加内容ふくめ手直し。  軽微な変更なので、今回は値段はそのまま。  購入済みの方が改訂版を自動で取得する機能は、  今のところAm...
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日本の伝統美を楽しむ♪

どのような未来がやってくるのか? 今の私たちが何を望み、何を願うのかによって、 導かれる未来も変わっていくものなのだと思う。 人々の欲求が高い分野は自然とレベルが上がるものだから。 そして高い欲求を持...
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見えないものを感じる力/ダイアログ・イン・ザ・ダーク

お釈迦様が悟りを開いたという12月8日。 食禅(じきぜん)なるイベントに参加してきた。 曹洞宗の祖、道元は中国へ留学した際、 禅寺の食事係、典座の心がけに禅の本質を見る。 道元が帰国後「典座教訓」をま...
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月見のイメージ好転。西行と山越阿弥陀図。

平安時代初期には必ずしも印象が良くなかった月見。 しかし平安末期になると反転しているのはなぜか? 中秋の名月を詠わない古今集。月が不吉な竹取物語。 平安末期を代表する歌人、西行(1118~90年)が、...
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中秋の名月を詠わない古今集。月が不吉な竹取物語。

西行(1118~90年)は詠んだ中秋の名月の和歌。 西行、中秋の名月を詠う(山家集) 日本ではいつ頃から中秋の名月を愛でていたのか? 「古今和歌集」(905年)の秋の巻を開いてみて、あれ? 中秋の名月...
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見た目での差別に抵抗がない古代日本(古事記・枕草子)

基本的には「中身」より「見た目」の世の中だ。 ナンシー・エトコフ「なぜ美人ばかりが得をするのか」。 私たちの美に対する愛情は生物学に深く根ざしており、 「人が感じる美=遺伝子を残すために最適な見た目」...
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月は東に日は西に/蕪村・月の俳句集

月は東に日は西に。 井上陽水の歌にそんな歌詞があった気がするが、 これは江戸時代の俳人、与謝蕪村(1716~84)の 菜の花や月は東に日は西に という絵画的な俳句の1つだ。 ふと気がつけば、蕪村の月は...
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日本の十大家紋。弱さに秘められた強さを愛す。

弱さに秘められた強さを愛す。 昔話をはじめ日本の文化・歴史に見え隠れする特徴。 日本では「弱さ」は「強さ」よりも深い(13/09/16) 今回新たに気がついたのが「家紋」。 家紋のモチーフによくベスト...
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恋をすると世界が違って見えるわけ/ルーマン「情熱としての愛」

日本が哲学に目覚めた時期が遅いのはなんでだろう? 西洋では古代ギリシア、中国では戦国春秋時代だけど、 日本は空海(774~835)あたりでようやくはじまる感じ。 おそらく日本では長らく無文字社会が続い...