人生の哲学と科学

中国古典

不要不急と無用の用

不要不急。 先ごろはじまったCOVID-19の第5波では、あまり見聞きしなくなった。ただ「何が自分にとって不要不急だったのか?」と振り返る機会は、今後も継続的にあった方がいいように思う。 今の経済活動...
世界を読み解く方法

人の目を曇らせる「思想」「嗜好」「習慣」(柳宗悦)

私たちが本質を見失いがちなのはなぜか? 柳宗悦がこんな言葉を残している。 「大方の人は何かを通して眺めてしまう。いつも眼と物との間に一物を入れる。ある者は思想を入れ、ある者は嗜好を交え、ある者は習慣で...
脳と遺伝子の探求

ビジネス書は後知恵バイアスとハロー効果だらけ

ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー」は、その内容の記憶が薄れてきたら繰り返し読むべき一冊。先ごろ出版された続編「ノイズ」を読む前の復習にもいいだろう。  いわゆるビジネス書には大きく分けて二つの種...
お薦めの本

ドーパミンと起業家精神/リーバーマン&ロング「もっと!」

ドーパミンに関する最新脳科学を紹介した一冊、ダニエル・リーバーマンとマイケル・ロングの「もっと!」を読んでいて、起業家精神で日本がアメリカに適わない理由がよく分かった。そもそも遺伝子に端を発する違いな...
偶然とリスクの諸相

不確実性を飼いならす? 不確実性は私たちの存在そのものでは?

二冊の本を同時平行で読んでいて、うーん…と思ったこと。 イアン・スチュアート「不確実性を飼いならす」 ルーシー・ジョーンズ「歴史を変えた自然災害」 数学者のイアン・スチュアートは、不確実性を飼い慣らそ...
「時」を読み解く

時を読み解く際に必要な整理。4つの知覚体験。

アラン・バーディックは「なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか」の中で、時間にまつわる議論が混乱に陥るのは、様々な知覚体験を1つの言葉で表現しようとするからだと指摘。次の4つの知覚体験に分けて考えるべきでは?...
偶然とリスクの諸相

マックス・ギュンター「運とつきあう 幸せとお金を呼び込む13の方法」

マックス・ギュンター「運とつきあう」。 同じ著者の「マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」を読まれた投資家の方も多いのではないかと思う。 運をいかにつかむか?をテーマに13の技法をまとめてい...
脳と遺伝子の探求

セロトニン運搬遺伝子と日本人の可能性

橘玲「スピリチュアルズ」を読み進める中で(←この本おもしろい!)、以前読んだエレーヌ・フォックス「脳科学は人格を変えられるか?」について、重要な部分を読み落としていたことに気が付き、たしかめた。 お気...
世界を読み解く方法

大局観は歳とともに身につくもの?

将棋やチェスの勝負師の思考法に触れて、投資家としてこれは身につけたい!と願った「大局観」。 大局観を身につけるには?/羽生善治&カスパロフ(07/12/18) この記事は20代だった14年前に書いたも...
古典に学ぶ人生論

クロイソス×ソロン問答へのアリストテレスの反論(ニコマコス倫理学)

アリストテレスの「ニコマコス倫理学」に興味はあるが、なんだか難しそうと迷ったものの、結局手に取ることにした。 40歳を過ぎ、いつ老眼に襲われるか分からないので、気になる古典は今のうちに目を通しておくべ...
古典に学ぶ人生論

アリストテレスの最高善って遊戯三昧?

いままでちゃんと読んだことがなかったので気付かなかったのだが、アリストテレス「ニコマコス倫理学」はある意味、幸福論の古典のようだ。ちょこっとかじってみて、もしやこれは?と思ったことをメモ。 「もういち...
お薦めの本

幸運と幸福の違いとは?/ヘロドトス「歴史」

ヘロドトス「歴史」を読み直している。読み進めていくと一番最初に出会う読みどころはやはり、クロイソスとソロンの問答。※岩波文庫・上巻のP31~ 権力の絶頂にあったリュディア王クロイソスは、ギリシアの賢人...
人工知能をめぐる議論

1920年のAIディストピア/カレル・チャペック「RUR」

何で読んだか忘れてしまったが、人工知能の未来を考える上で、カレル・チャペック(1890~1938)のSF作品が興味深い内容だという。 「ロボット“robot”」という言葉の起源となった作品、戯曲「R....
人生の哲学と科学

加齢による味覚の衰えは「味蕾(みらい)」と無関係?

歳をとると味覚が衰えて、だんだん味が分からなくなる、って話があったでしょ?70歳過ぎてからコロナで美味しいものが食べに行けないのは痛いわ。 母が電話でそんな話をしていて、うーむたしかに。というか数年前...
世界を読み解く方法

なぜ真実が軽視されるのか?/リー・マッキンタイア「ポストトゥルース」

ポストトゥルースとは? オックスフォード大学出版局辞典部門が、「ポストトゥルース“post-truth”」という言葉を、2016年の「今年の一語」にノミネートし、その意味を以下のように説明。 「公共の...
道元「正法眼蔵」

老いと向き合う禅/荘子「坐忘」、道元「身心脱落」

荘子を読み返していて、座禅の源流のような記述を見つけた。(大宗師篇 第七章) 顔回が師匠の孔子に「坐忘」を身につけたと報告する。 「肢体を堕ち、聡明をしりぞけ、形を離れ知を去りて、大通に同ず。此れを坐...
世界を読み解く方法

ル・ボン「群集心理」は、人間の条件、大衆の反逆の源流。

今月のNHK「100分de名著」が、ギュスターヴ・ル・ボン「群集心理」。 まだ読んでいなかったので、この機会に手に取った。これまで読んだ本と歴史との関連をつなげると、こういう流れかなと。 ル・ボン「群...
お薦めの本

道を見つける力を手放し、海馬を鍛えなくなった人類の未来は?

スマホとGoogle Mapがなかった頃、とにかくよく道に迷った。子供の頃から記憶力には自信があったので駅前の地図をスキャンして、後で戻って来られるように、目印となるものを記憶しながら目的地を目指す。...
兼好法師「徒然草」

徒然草・最終段に込められた意味

徒然草の最終段である243段は少し不思議。 幼少期の兼好法師が父親に「仏って何?」と問いかけ、数回の問答の後に、父は答えられなくなり、 「問ひ詰められて、え答へず成り侍りつ(息子に問い詰められ、とうと...
古典に学ぶ人生論

鴨長明の方丈庵。台所がないのが気になる。

引越先を探す中で、必要な家の広さについて考えていて、なぜか、鴨長明「方丈記」を読み直しはじめた。 ちなみに「方丈記」の「方丈」とは、長明の住んだ家の広さを現す。 方丈=一丈四方 一丈=3.03メートル...