人生の哲学と科学

兼好法師「徒然草」

無縁は中世の理想郷/徒然草211段

無縁。 今では社会問題を表す言葉になっているけど、 鎌倉時代には「遁世」や「隠遁」は知識人の憧れだった。 徒然草211段にもそれがよく現れている。 万の事は頼むべからず。 愚かなる人は、深く物を頼む故...
デカルト「方法序説」

主観と客観の転換点/デカルト「我思う、ゆえに我あり」

デカルト「方法序説」の記事が思いのほか好評なので、 オマケでデカルトについて調べてたときに出会ったおもしろい話。 subject(主観)とobject(客観)の日本語訳の不思議について。 まず英語の語...
偶然とリスクの諸相

連続性の追求が人生の目的/パース「連続性の哲学」

私たちが様々な社会現象に連続性を見出したがるのはなぜか? タイトルに惹かれて、パース「連続性の哲学」を読んでみた。 「思考における、感情における、行為における一般化、連続的体系の豊かな拡がりこそが、人...
デカルト「方法序説」

世界を読み解く方法/デカルト「方法序説」

直感や創造性にロマンティックな信仰をよせる者は肩身の狭い時代。 今の社会が期待しているのは、合理的で論理的な考え方だから。 そんな思考法の出発点は、やはり17世紀のデカルトだろう。 「方法序説」をパラ...
お薦めの本

ヘタな自己啓発本より世阿弥「風姿花伝」

「成功の法則」といった安っぽいタイトルの本を読むくらいなら、 能の魅力を「花」に例えた世阿弥の能楽論「風姿花伝」。 舞台を成功させるための「まことの花」を追いかけて、 年齢別の稽古論を説いてみたものの...
偶然とリスクの諸相

ラプラスの悪魔とは?(確率の哲学的試論)

ずっと読みたかったけど絶版で、中古が値上がりして入手困難。 そんな岩波文庫の一冊が先週重版されたので、速攻で手に入れた。 でもAmazonでは早くも品切れ…。今、注目されてるのかな? ピエール・シモン...
偶然とリスクの諸相

3.11が残した課題は原発問題ではない

どういうわけか3.11を原発精神論でしか語れなくなった。 原発を動かす動かさない、そんなことは議論の対象ではない。 原発を徐々に減らして他の手法に切り替えていく以外にないから。 ※「フォーリン・アフェ...
お薦めの本

渡辺和子「愛と励ましの言葉366日」

今、話題の書「置かれた場所で咲きなさい」。 タイトルになるほど!と勝手にすべてを理解したつもりになり、 同じ著者の他の本を一冊、ということでこの本を読んでみた。 1973~2003年に出版した9冊の本...
お薦めの本

科学の因果律を追って/大栗博司「重力とは何か」

質量の起源、ヒッグス粒子について明日なにか発表があるとか。 表題の本となんか関係あるんだろうけど私にはまだ理解不能。 私が知りたいのは、科学の最先端で因果律がどう扱われているか? 軸があれば門外漢の分...
パスカル「パンセ」

「考える葦」を文脈から読む/パスカル「パンセ」

今月のNHK「100分de名著」はパスカルの「パンセ」だった。 やっぱりラストは「考える葦」で有名な断章347が紹介されたけど、 パスカルの意図を正しく理解するには前後も読みたいところ。 考えが人間の...
お薦めの本

絶対的な時間は存在しない/佐藤勝彦「相対性理論を楽しむ本」

人の心を通すと時の流れはゆがむ。 日常的なことで考えれば、時の流れを忘れるような体験の中にしか、 「今」という感動に満ちた時間は私たちに存在しない。 また、株式投資の視点からリーマンショック後1年間の...
偶然とリスクの諸相

偶然の美しさと運命の出逢い

20世紀フランスの詩人ブルトンは「シュルレアリスム宣言」なかで、 「私の意図は、一部の人々の間にはびこっている不思議への嫌悪と、彼らが不思議の上にあびせようとしている嘲笑とを糾弾することだったのである...
偶然とリスクの諸相

確率を引っ掻いたシュレーディンガーの猫

初期状態さえ分かっていれば、あらゆる自然現象の未来は予測可能。 長らく人々の思考を支配してきた決定論(運命論)に対し、 数学的には確率・統計が、物理学ではハイゼンベルクが斬り込んだ。 この流れの先に量...
投資哲学を求めて

哲学や物理学から投資理論を読み直す

投資を起点にはじまった思考の旅をここで振り返ってみる。 投資を追求すれば投資理論の土台とされる、 モダンポートフォリオ理論(MPT) 資本資産価格モデル(CAPM) を教え込まれるわけだが、私には納得...
名言・名文

知性の限界/ユクスキュル「環世界」

ユクスキュル。生物哲学者と呼ぶのが正しいのかな。 「環世界"Umwelt"」って概念は様々な分野に問いを投げかける。 環世界の考え方を私なりに簡単にまとめると、 すべての生物は知覚の枠内でしか世界を認...
お薦めの本

バイキャメラル・マインド(二分心)の衝撃

連塾最終回で「ゆらぎと創発をめぐる科学のための5冊」と題して、 松岡正剛氏が選んだうちの1冊、ジュリアン・ジェインズ「神々の沈黙」。 途中まで読んだけど「バイキャメラル・マインド」、すさまじい仮説だ。...
偶然とリスクの諸相

ハイゼンベルクの不確定性原理

物理学のことなんてさっぱり分からない。 でも運命や偶然について考えるうちに遭遇したので覚え書き。 イアン・ハッキング曰く「決定論の浸食」が起きる直前、 フランスにピエール=シモン・ラプラスという数学者...
お薦めの本

イアン・ハッキング「偶然を飼いならす」

サブプライムローン問題に続くユーロ危機という現在の混乱は、 偶然の飼いならしに失敗し、ブラックスワンが羽ばたいた結果とも言える。 いつからなのか? 偶然を「まぐれ」のまま放っておけなくなったのは? 確...
名言・名文

ダーウィン「種の起源」の名言は、後世の誤った要約?

「美は命を絶やさないための手段のひとつであり、美に対する愛情は人間の生物学に深く根ざしているのだ。」 ---ナンシー・エトコフ「なぜ美人ばかりが得をするのか」P268 なんて本を読んで以来、生物学に少...
名言・名文

遺伝子は意思を持った意伝子なのか?

「人が美しいと感じるもの=遺伝子を残すのに最適」 を説く本を読み、 なんか遺伝子が過大評価されているような変な感じがあった。 リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」が注目されてからかな。 遺伝子の...