人生の哲学と科学

日本の美意識

偶然の文化比較と九鬼周造「偶然と運命」

数学者が偶然や運命を計算で飼い慣らそうと必死だった歴史は、 ピーター・バーンスタインの「リスク」を読めば、なんとなく分かる。 では哲学者は偶然や運命をどう捉えていたのか? あるものが偶然と呼ばれるのは...
偶然とリスクの諸相

未来が現在・過去を評価するのだから…

投資家として世界を読み解こうと試みた当初の約10年は、 時間の捉え方が「過去→現在→未来」と一直線で幼稚だった。 最終的には大学院にまで行ったけど、そこに未来学は存在せず、 数字と論理を積み上げて必死...
名言・名文

人生は築くものではなく流れゆくもの

先日のセミナーにご参加いただいた方から不思議な取材依頼。 「これまでどんな人生を送ってきたのかインタビューさせてください」 とりあえず明日に備えて、イベントを年表形式にまとめながら… やはり人生は築く...
偶然とリスクの諸相

リスク管理社会の変遷と本質

「リスク管理」の考え方は経済理論から生まれたもの。 確率・統計によって偶然やリスクを飼いならす。。。 でも21世紀に入った今、破局をもらたすようなリスク、 たとえば環境問題・金融危機・テロに対して無力...
お薦めの本

思考欠如の系譜を読み解く/ハンナ・アレント「人間の条件」

ハンナ・アレントは「思考欠如」を現代社会の危機と捉え、 そこに至る系譜をこの「人間の条件」に描こうとした。 労働・仕事・活動の三要素を「人間の条件」と定義し、 近代において「労働」が重要視された結果、...
偶然とリスクの諸相

豊かな社会がリスクをもたらす/ベック「危険社会」

政府の役割が「富の分配からリスクの分配」に変わったという話。 それを唱えたウルリヒ・ベックの「危険社会」の記述をあたってみた。 ※「危険」と訳された部分を「リスク」へ書き換えた。 「近代が発展するにつ...
しあわせのかたち

ミュージシャンの自分年金

お世話になっている20代半ばのギタリストさんから、 「ボクは年金どうしたらいいんですか?」 と聞かれて話したら、なんかキレイにまとまったのでメモ。 年金の寄付or宝くじだと思って支払うもの 年金の受給...
偶然とリスクの諸相

富の分配からリスクの分配へ

リスクを分散・分配することで本質的な危険から目をそらす。これにより社会と人間のあいだに君臨している偶然を排除する。 これが20世紀後半に築かれたリスク管理社会の幻想だった。 「ウルリッヒ・ベックによれ...
投資の賢人に学ぶ

ジョージ・ソロスの再帰性理論

ジョージ・ソロスの投資哲学の根幹である再帰性理論。 昔はさっぱり分からなかったけど、今なら少し近づけそう。 認識機能…人が世界を理解しようと努めること 関与機能…人が世界に影響を与えようとすること こ...
投資で創った人生哲学

ジョージ・ソロスの大局観と人生観

ジョージ・ソロスは投資哲学者。(と私が勝手に思ってる) 私が哲学に触れるようになったのはソロスが気になってから。 20代の頃はウォーレン・バフェットが好きだった。 バフェットのように財務諸表を読んで株...
古典に学ぶ人生論

内なる貧しさに豊かさがある by エックハルト

すべてを捨てた先に真の豊かさがある。 そんな教えを説いた一遍上人(1239-89)が現れた鎌倉時代。 ヨーロッパでも同じような思想を持った人物が現れていた。 キリスト教神学者、マイスター・エックハルト...
投資で創った人生哲学

ダブル・コンティンジェントな株式市場

和英辞典で「偶然」を引くと”chance”が一番最初に出てくる。 なんかイメージと違うぞ。。。 以前紹介したイアン・ハッキング「偶然を飼いならす」の原題が、 "The Taming of Chance...
古典に学ぶ人生論

捨聖・一遍上人のことば

氾濫する情報、パーソナライズ化された情報といかに向き合うか? 投資家として、知的生活に憧れる凡人としての私の重要テーマ。 最近では日経新聞の購読をやめ、情報源を捨てる努力もしている。 「捨てる」ことは...
世界を読み解く方法

IT革命後の情報と知性のせめぎ合い

ここ十数年の情報と人の知性の関わりについての認識を整理。 ネットの普及でテレビや新聞みたいに受け身で情報を得るのではなく、 これを調べたい!って前のめりに情報を得るって時代に変わった。 あらゆる分野で...
偶然とリスクの諸相

未来予測に価値はない/フロイト「幻想の未来」

ジークムント・フロイト。 彼が無意識や心理的な葛藤を人間観察の中心に持ってきたことで、 以後、精神医学や心理学、さらには脳科学へと研究が広がった。 こんな業績を残した人だろうか。 著作を読んでみようと...
お薦めの本

リスク管理は破局に無力/ジャン=ピエール・デュピュイ

リーマンブラザーズが破綻した日に、これは面白いことになった♪ と投資の分野で研究者として名を残す!と暴走し、大学院へ進学。 でもそこで出会った学問は、より良い未来の創造に対して無力であり、 むしろ未来...
兼好法師「徒然草」

無縁は中世の理想郷/徒然草211段

無縁。 今では社会問題を表す言葉になっているけど、 鎌倉時代には「遁世」や「隠遁」は知識人の憧れだった。 徒然草211段にもそれがよく現れている。 万の事は頼むべからず。 愚かなる人は、深く物を頼む故...
デカルト「方法序説」

主観と客観の転換点/デカルト「我思う、ゆえに我あり」

デカルト「方法序説」の記事が思いのほか好評なので、 オマケでデカルトについて調べてたときに出会ったおもしろい話。 subject(主観)とobject(客観)の日本語訳の不思議について。 まず英語の語...
偶然とリスクの諸相

連続性の追求が人生の目的/パース「連続性の哲学」

私たちが様々な社会現象に連続性を見出したがるのはなぜか? タイトルに惹かれて、パース「連続性の哲学」を読んでみた。 「思考における、感情における、行為における一般化、連続的体系の豊かな拡がりこそが、人...
世界を読み解く方法

世界を読み解く方法/デカルト「方法序説」

直感や創造性にロマンティックな信仰をよせる者は肩身の狭い時代。 今の社会が期待しているのは、合理的で論理的な考え方だから。 そんな思考法の出発点は、やはり17世紀のデカルトだろう。 「方法序説」をパラ...