住友不動産の新株予約権付永久劣後ローン

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暇だから2ヶ月前に発表された、住友不動産の掲題の変なのを読んでみた。
まず劣後ローン。銀行への公的資金投入でよく見かけた言葉。
というわけで、劣後ローンの解説を昔の新聞記事から。

 資金提供先が破たんしたときなどの返済順位が低い貸し出し。出資に近い性格を持つため、金融機関は自己資本比率を計算する際、劣後ローンによる調達資金を自己資本に算入することができる。ただ、自己資本の中心となる中核自己資本には含まれない。(2004/01/07 日経金融新聞)

これに新株予約権が付くってことは、いわゆるハイブリッド証券の一種だね。
R&Iのレポートにもあるよう、昔紹介した新日鉄のアレと同じようなもん。
まあ、架空の株主資本を計上できてしまう新日鉄ほど酷くはないけどね。
ただ気になる点が3つある。

まず、会社発表資料の4ページ上部、劣後ローンの資本性評価
「本劣後ローンは、予め定められた満期がないこと、一定の条件の下で利払いが停止されること、弁済順位が全ての一般債権に劣後すること等により、格付機関から75%相当の資本性評価を得られる見通しです。」
ということは、今後住友不動産の貸借対照表を正確に分析するには、
今回の劣後ローン1,200億円は、借入金に計上されるんだろうけど、
75%は資本に直して会計指標などを計算し直さないといけない、ってことか?

また、5ページ頭の新株予約権の行使価額修正条項。これ重要。
「本新株予約権は、本劣後ローン債権者の資金回収手段を保全するという趣旨に合致するよう、行使価額を時価の95%、下限行使価額を1,087 円に設定する行使価額修正条項を付しました。」
なんだSMBCだけにMSCB(下方修正条項付転換社債)のお仲間ってことか(笑)
MSCBとなれば、買収防衛が目的だった新日鉄とは違い、非常事態宣言か?

さらに今度はこのMSCBの引受側について考えると、これまた不思議。
銀行法第十六条の三(銀行は事業会社株式の5%超を保有しちゃダメ)
「銀行又はその子会社は、国内の会社の議決権については、合算して、その基準議決権数(当該国内の会社の総株主等の議決権に百分の五を乗じて得た議決権の数をいう。)を超える議決権を取得し、又は保有してはならない。」
引受先である三井住友銀行が、下限行使価額(1,087円)で予約権を行使すると、
発行済み株式数の23.2%の株式を手にする。といっても銀行法上ムリ。
もしかするとこの新株予約権は、三井住友銀行に発行手数料をあげるためのもの?

とてもモヤモヤしている。
ただ1つはっきりしたのは、信用売り候補リストに住友不動産が加わったこと。

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