前回に引き続き、珍しく?予告どおりデュポン流のROE分析の話。
このデュポン式ROEの決算書分析は、
佐々木洋「決算書でわかる儲けの極意」に付属のExcelファイルを使うと
簡単にデータが取得できるので、これを使ってトヨタと日産のデータを比べてみると、
トヨタ ROE推移
2003.3 10.8% = 7.3% × 1.02 × 1.51
2004.3 16.7% = 6.7% × 1.13 × 2.21
2005.3 13.6% = 6.3% × 0.80 × 2.69
日産 ROE推移
2003.3 27.1% = 7.3% × 0.93 × 4.06
2004.3 26.3% = 6.8% × 0.98 × 3.97
2005.3 22.8% = 6.0% × 0.97 × 3.94
日産のROEが高い理由は財務レバレッジにあることが分かる。
これはカルロスゴーン氏のあの有名なV字回復の一期前、
2000年3月決算で約6,800億円の損失を計上し、株主資本が失われたから。
(=総資産/株主資本 の分母が小さくなった)
その後、利益が資本の部に積みあがってくるにつれ、財務レバレッジが低下。
一方のトヨタは、自己株式の取得、増配により財務レバレッジが上昇。
このようにデュポン式ROEを利用すると、
表面上は日産が断然有利に見えても、実際はそうでもないことがよく分かる。
こんな感じでROEだけの比較を盲目的に信じて投資するのはダメダメ。
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