Adaptive Market Hypothesis(適応的市場仮説)とは?

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MITのアンドリュー・ロー教授の記述に出くわしたのは、今年の7月がはじめて
その時は、日本語訳の本もなかったし、何の研究してる人かよく分からなかった。
今回、P.バーンスタインの遺作「アルファを求める男たち」を読んで、ありゃま!!
市場はランダム・ウォークではない、という研究の業績が認められて、
1990年に29歳にしてMITの修身教授に選ばれた人らしい。
A Non-Random Walk Down Wall Street“って著書もあった。(誰か訳して~!)

※追伸2020年5月についに日本語訳が発売(原著は2017年に出版された改訂版)

ロー教授は、Efficient Market Hypothesis (効率的市場仮説)を打ち破るべく、
Adaptive Market Hypothesis (適応的市場仮説)を提唱しているようだ。
ホームページに掲載されている文章を泣く泣く拾っていくと。。。

“The proposed reconciliation, which I call the Adaptive Markets Hypothesis (AMH), is based on an evolutionary approach to economic interactions, as well as some recent research in the cognitive neurosciences that has been transforming and revitalizing the intersection of psychology and economics.

認知神経科学を経済学と心理学に掛け合わせる。

“I then turn to the AMH, in which the dynamics of evolution – competition, mutation, reproduction, and natural selection – determine the efficiency of markets and the waxing and waning of financial institutions, investment products, and ultimately institutional and individual fortunes.

進化論から金融商品などの盛衰を説明しようとしているようだ。

具体例として、年金基金、一般投資家、ヘッジファンドなど、
投資家を異なったグループごとの”species”(種)とみなすと、

“If multiple species (or the members of a single highly populous species) are competing for rather scarce resources within a single market, that market is likely to be highly efficient.”

複数の種が単一の市場で不十分な資源を争ってるなら、市場は極めて効率的に、

“If, on the other hand, a small number of species are competing for rather abundant resources in a given market, that market will be less efficient.”

少数の種がたくさんの資源を争っているなら、市場はより非効率に。

なんとなくしっくりくるような。
また、バフェットさんのような存在も、エラーと言って無視することなく、

“The extraordinary degree of competitiveness of global financial markets and the outsize rewards that accrue to the “fittest” traders suggest that Darwinian selection – “survival of the richest,” to be precise – is at work in determining the typical profile of the successful trader.”

と説明ができている。EMHより現実味のある理論かもしれない。

英語で目がグルグル回ったので、私なりに簡単にまとめると。
企業の盛衰は、ダーウィンが残した言葉がしっくりする。

もっとも強いものが、あるいは最も知的なものが、生き残るわけではない。もっとも環境の変化に対応できたものだけが、生き残る。

そんな企業に投資して運用するなら、やはり進化論的な視点が必要なはずだ。

しかし、バートン・マルキールの「ウォール街のランダムウォーカー」は、
バフェットさんはじめ、都合の悪い話には触れてくれないから知らなかったよ。
今年、ピーター・バーンスタイン氏が亡くなってしまったので、
これからは日本語だけで、最新の投資理論を手に入れるのに苦労しそうだ。。。

コメント

  1. baboocon より:

    「ウォール街のノン・ランダムウォーカー」ってトコですか。
    どうでもいいですが昔話題になった「『買ってはいけない』を買ってはいけない」というタイトルを思い出しました。
    それにしても、市場理論って程度に差はあっても「効率的市場仮説」ばかりかと思ったら、それに対抗するこんな理論もあるんですね。それもずい分前から・・・。

  2. まろ@管理人 より:

    マルキール氏自身はその後、中国株投資の本を出して、インデックスファンドで土台が作ってあれば、アクティブファンドを買ってもいいんだ!と、よく分からない人になってしまいました。アンドリュー・ロー教授の学説を含め、日本語でしか情報を得ていないと、知らないうちに何かが変わっているのかもしれません。。。