杉田圭「超訳百人一首 うた恋い。」

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百人一首の歌が詠まれた背景を漫画化した本。

3作目が発売され、この夏にアニメ化も予定されているそうな。

2作目は六歌仙の在原業平小野小町文屋康秀を中心に、

3作目は「枕草子」の清少納言を中心に百人一首の世界が描かれる。

でもやっぱり現代語訳の美しさに感銘を受けた1作目が印象深い。

【13】陽成院

筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて ふちとなりぬる

  あるかないかの想いでさえも 積もり積もりって

  今はもう 君のことが とても 愛しい

【50】藤原義孝

君がため をしからざらし 命さえ ながくもがなと 思ひけるかな

  いつ死んでもいいと思っていた 君に会うまでは

  君に会えた今 いつまでも 君といられたらとぼくは願っている

【97】藤原定家

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ

  待っても あなたは来ないけど

  やっぱり私はいつまでも あなたを想い 胸をこがしています

こうして並べてみると、私の人生が一瞬、華やいだあの頃を思い出す。

百人一首をカルタ取りやぼうずめくりで終えるのはもったいない。

日本語と日本人の心は和歌を通じて育まれたものだから。

そしてわずか31文字にありったけの想いを込める技法は、

かつて日本が世界を席巻した製造業にも通ずるものが感じられる。

グローバル化を唱え、外ばかりに目を向けて足場が崩れている人や

英語ができないから日本が一番と言いながら、自国の文化に無知な人。

今はこんな種類の日本人がワラワラいる時代。

だからこそ日本を見つめ直すことが大切、というのが最近の持論。

歴史の中心が京都から鎌倉へ移った頃、編さんされた百人一首。

そんな学生の頃に誰もが触れた王朝文化の総集編をもう一度いかが?

 

超訳百人一首

超訳百人一首 うた恋い。

(2010/08/04)

杉田圭

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コメント

  1. 通りすがり より:

    先日もコメントさせていただきましたが、私は「ちはやふる」から百人一首に興味をもって「こんなに面白かった「百人一首」」(吉海 直人)を読みましたけど、この本はなかなかオススメです。
    和歌だけでなく、読み手についての解説があって、歌の向こうに人間模様が見えてくるんです。
    『ふりゆくものは 我が身なりけり』
    絶大な権力を手に入れても、老いには敵わないことを詠んだ藤原公経。
    『恋しかるべき 夜半の月かな』
    道長に嫌がらせされるわ、目は見えなくなるわで不遇な人生をすごした三条院。次第に失われていくなかで見た月は、彼の目にどう映ったのだろう。
    『人づてならで 言うよしもがな』
    そんな三条院の娘と恋に落ちたが、身分の違いから三条院に引き離され、思いを絶った藤原道雅。
    『憂しと見し世ぞ 今は恋しき』
    父、顕輔に冷遇された辛い半生をもちながら、前向きな思いを詠った藤原清輔。
    『雲隠れにし 夜半の月かな』
    内気な性格で生涯出世しなかったという清原深養父。「雲隠れにし夜半の月」はまるで彼自身を詠んだよう。
    うた恋は百人一首編纂の裏側ということで、また違った視点から百人一首を楽しめそうなので、アニメ化楽しみです!

  2. まろ@管理人 より:

    百人一首の解説本は白洲正子さんの本もお薦めですよ。