内田樹「日本辺境論」

この記事は約2分で読めます。

日本の辺境性を軸に、たくさんの本をうまく編集してある楽しい本。

世界のどんな国民よりもふらふらきょろきょろして、最新流行の世界標準に雪崩を打って飛びついて、弊履を棄つるが如く伝統や個人の知恵を棄て、いっときも同一的であろうとしないほとんど病的な落ち着きのなさのうちに私たちは日本人としてのナショナル・アイデンティティを見出したのです。」(P30)

ごく最近の例だと、iPhone のヒットだろうか。
ソフトバンクの孫社長は、公では「狙いどおり」と豪語しているけれど、
オフレコの場では「正直、100万台も売れると思わなかった」と言ってるとか。

個人的にも、iPhone は人差し指タッチだし、パネルの反応が微妙そうだから、
親指使って高速でガンガンメール打つのが、一つの文化になってた日本では?
と思ってたんだけど、意外や意外。
また、iPhone持ってる私の周囲の人は、ほとんどが電話としては使えないからと、
ドコモのケータイとセットで2台持ち歩いてたりするからビックリ。
お金かかるし、かさばって不便でも、世界標準から学ぼうとする姿勢…。

こうやって世界標準に飛びついて、それをさらに良いものに発展させる…

日本人は後発者の立場から効率よく先行の成功例を模倣するときには卓越した能力を発揮するけれども、先行者の立場から他国を領道することが問題になると思考停止に陥る。」(P89)

こんな特徴も日本にはあるわけで、今年登場する日本製のスマートフォンに期待。
(私自身はドコモからのGoogleケータイ発売を首をなが~くして待ってるところ)

そうそう、内田氏は、日本が近年、諸外国から学ぶ力が劣化しているのでは?
と危惧しているようで(P196~198)、サッカー界ではまさにそれが起きている。
1990年代には辺境民の力を見せつけ、アジアの弱小国から成り上がったが、
イビシャ・オシムが倒れて以降、すっかり世界から学ぶことをやめた日本代表…
このあたりの話は、杉山茂樹「決定力不足でもゴールは奪える」がオススメ。

日本辺境論 (新潮新書) 日本辺境論 (新潮新書)
内田 樹
商品詳細を見る

コメント

  1. ダモ より:

    iPhoneは便利らしいですね。伊集院さんが言ってました。
    電話が使えないってのは、アンテナが立ってないんでしょうかね??
    ウチは、IT革命しそうで未だに革命ってません。夫は携帯も持っていません。
    外国の人が日本人ってこうだよね。っていうのは納得しますが、日本人が日本人のことを論じるのは、あまり信憑性が無いように思います。
    新入社員の〇〇型ってのが毎年変わるように、刻々と変化していくものだし。。

  2. まろ@管理人 より:

    「日本人が日本人のことを論じるのは、あまり信憑性が無い」
    はたしかに。
    日本人は日本の良さとかあまり気づかない民族だし。海外で評価されてはじめて価値を認識する、みたいなところありますよね。
    iPhoneが電話で使えないっていうのは、ソフトバンクだからみたい。仕事で外出する人が多い方は、つながりにくくて不便って言ってることが多いです。