紀貫之の和歌で詠む七夕の心

あと10日ちょっとで七夕がやってくる。みんなは何を願うのかな。
今日は紀貫之の和歌で、恋と七夕についてつづってみよう。
まずは和歌と七夕の関係をごく簡単に。

七夕は、すでに「万葉集」の時代から、さかんに歌に織り込まれ、
古今和歌集」では173~183番に11首の七夕の歌が選ばれている。
今と少し違うのは、旧暦の7月7日は秋だから、七夕は秋の季語。

前置きはこれくらいにして、
古今集の撰者でもあった紀貫之の七夕の和歌。
「貫之集・屏風歌」より。

一年に 一夜と思へど 七夕の 逢ひ見む秋の かぎりなきかな

織姫と彦星が会えるのは、一年にたったの一晩だけだけど、
2人が会い続けるこの秋は、未来永劫いつまでも続くんだなぁ。
こう捉えれば七夕の物語は決して悲しいものではない。
古今和歌集には貫之のこんな歌が残されている。

桜花 とく散りぬとも おもほへず 人の心ぞ 風も吹きあへず

桜は風が吹いたら散ってしまうけど、
人の心という花は、風が吹かなくても散ってしまうじゃないか。。。
こんな貫之の歌を受けて、兼好法師は徒然草・第26段にこうつづる。

風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆくならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。

地上の人々の心は、うつろいやすいもの。
でも、七夕の2人の仲は、いつまでもいつまでも変わることがない。
貫之は永遠の恋に思いをはせながら、夜空の星を見上げていたんだね。


【七夕の和歌シリーズ】