オランダ病/豊富な天然資源と経済の繁栄は反比例・2

予告通り、グリーンスパン波乱の時代を下巻から読んでいる。
いきなり最初の章で、天然資源と経済成長の関係を示す記述が目を引いた。

私の中で昨年、最も印象に残った本、
ウィリアム・バーンスタイン「豊かさの誕生-成長と発展の文明史」では、
16世紀のスペイン経済の没落と絡め、
「天然資源の豊富さと経済繁栄の間には、負の相関関係がある。」
と説明され、私もこれに納得した。(→該当記事)

そして、今回のグリーンスパンの本。
経済専門家のほとんどは、豊富な天然資源があれば、その国の生活水準が向上するより低下する可能性が高く、開発途上国の場合は特にそうだと結論付けている。
やはりそういうものらしい。さらに以下抜粋で。

1970年代に「オランダ病」と呼ばれる現象が起こったことを知った。
 資源の輸出が好調→その国の通貨が高くなる→輸出産業の競争力低下
という現象だ。The Economist で使用された有名な言葉らしい。

また、OPEC加盟国はほぼすべて、原油で得た富を使って、
石油と関連製品以外の分野に経済を多角化することに失敗していることを指摘。
通貨の価値をゆがめるだけでなく、簡単に富を得られてしまうから、
生産性が伸びにくくなる。生まれつき働く意欲が強い人以外は労働しないから。
「10年後、20年後には分かるだろう。石油が我々の破滅の原因になることが」
by ホアン・パプロ・ペレス・アルフォンソ(OPEC設立の立役者・1970年代に語る)

最後に、1980年代前半、北海油田発見後のイギリスを例にあげ、
天然資源が発見される前に経済が十分に発達していれば、
長期にわたって悪影響を受けることはないようだ
、と記述されている。

波乱の時代(下)波乱の時代(下)
(2007/11/13)
アラン グリーンスパン
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コメント

  1. Alpha より:

    まろさん、
    こんにちは。非常に興味深い話ですね。確かに、資源があるが故に他の産業が育たない、は何となく、納得できます。簡単に富が手に入れられてしまうことによる弊害ですね。
    そう考えると、逆に、日本の強さは、資源を持たないことが、輸出産業の育成と成功につながったのかと思います。人間の健康を維持するためには、適度のストレスが必要だと言う話を聞いたことがあります。適度のストレスが刺激を与え、それが、健康を維持する力となる、とのことの様です。
    資源を持たないことが、プレッシャー、活力となっているのかな、とか思いました。また、私の個人的な印象なのですが、日本人は逆境に強いと思います。プレッシャー、問題を克服する力をもっている民族だと思っています。逆にあまりうまくいきすぎると、おかしな方向に、いきがちな気がしています。。。
    ちょっと話が飛びますが、90年中頃に記録的な円高となりましたが(一時80円を切った)、日本の輸出企業はそれを克服しました。当時と比べた場合、中国等が力を付けてきていますが、私は、日本企業の潜在的な力はかなりのものだと思っています。
    今の、日銀の世界の常識で見た場合、以上とも思える低金利政策は、日本企業と産業を甘やかしてしまっている気がします。それによって、企業の力が弱まってしまうことを危惧します。

  2. まろ@管理人 より:

    私も日本人の勤勉さは、資源を持たないからくるのかな、と思ってます。
    でも、日本人はダメな企業をゾンビとして生かすために、
    社会全体で大きな負担をして、結果経済全体が悪化する、
    ということを平気で受け入れる変な性質もありますね。
    その辺りバブル崩壊後の不況できちんと学んでいるといいけれど、
    Alphaさんご指摘の通り日銀の動きはどうにも珍妙なまま…
    さらに、もう一つ将来の日本にとって不安なのは、
    ウェブ上に様々な知識が無料で提供されるにつれ、
    英語圏の絶対優位が確立されようとしていることかなと。
    日本人って私を含め、英語できない人多いですから。
    英語圏に生まれなかったことによる格差を考えると、
    今日本で騒がれている格差問題なんて、なんと小さな話なんだろう!