「いろは歌」に込められた決意

誰もがいつの間にか知っている、「いろはにほへとちりぬるを…」。
仏教思想や無常観が投影されている歌、と読み解くこともできるらしい。
なるほど漢字を付して眺めると、平家物語の出だしに似ているかも。

色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日こえて
浅き夢見じ 酔ひもせず

「匂うがごとく花は咲きほこるけれども、すべて散ってしまうものではないか。このわれわれの世界において、いったい何が、誰が常であろうか。常なるものは何ひとつない。だから私は、無常なこの世を奥山の方へこえて行こう。こちら側の世で浅い夢なんか見ていないで、酔っぱらってなんかいないで。。。」

1,000年近く、歌い継がれてきた、47文字に込められた想い。

  • はかない夢のような世界へのあきらめを描いた1,2段目
  • それでも前へ進もうとする決意を描いた3,4段目

地震、火山、台風などなど、幾度となく自然災害に襲われ、
それでも立ち上がり続けた、日本の歴史がつまっている。

良い夢であれ、悪い夢であれ、とにかく目覚めて、山を越える必要がある。
ふと、古今和歌集の歌を思い出した。

世の中は 夢かうつつか うつつとも
夢とも知らず ありてなければ

夢現(ゆめうつつ)。
「ゆめ」と「うつつ」の境界から、何かが「うつろい」出てくる。
そこに「おもかげ」や「なごり」を「なんとなく」感じとる美意識。
夢と現実を行ったり来たりしながら、この国の土台が作られたのかな。

参考文献
竹内整一「はかなさと日本人」P34(いろは歌の現代語訳)
松岡正剛「神仏たちの秘密―日本の面影の源流を解く」P312~335
古今和歌集942(角川ソフィア文庫)