原研哉氏のデザイン歴史観

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NHK「爆笑問題のニッポンの教養」が大好きでメモ取りながら見ている。
普段は決して接することのない分野の人の話が聞けるオススメの番組。
今月は歴史人口学の鬼頭宏氏といい、今週の原研哉氏と当たり月だ。

原氏のデザインの歴史観みたいなのが、とても興味深かった。
古くはデザインとは、神や王の威光の象徴であり、複雑さを追求するもの。
しかし自由な社会の到来とともに、人間とモノとの距離を最短化しようと、
シンプルなものへと移っていった。これがヨーロッパ発のシンプルデザイン。
ところが、日本は応仁の乱をきっかけに、足利義政から始まる東山文化で、
ヨーロッパ発の世界とは別の道からシンプルデザイン「簡素の美」に到達した。

その違いは包丁のデザインからも明らかで、
ヨーロッパのデザインは握る場所が決められた、合理性の"シンプル"。
でも、日本のデザインは、どこを握ってもいい、"空っぽ"なデザイン
※"空っぽ"には「何もないけどすべてがある」という意味が込められている。

ここでなんとなく思い出したのが「うつろい」って言葉。「うつ=空(から)」。
松岡正剛「日本という方法-おもかげ・うつろいの文化」で似たような話が。
「うつろい」は無常感を表す言葉で、日本文化の様々な場面で登場する。
松岡氏によれば、日本人の無常感は仏教伝来とともに形作られ、
日本史で最初に無常感を表明したのは、聖徳太子の「世間虚仮・唯仏是真」
9世紀の空海の頃には、花鳥風月や人生観と関連するような表現に発展。
この流れの中で、私の大好きな「徒然草」も登場するわけだ。

つまり、原氏のいう日本のシンプルなデザインは義政の突然の発想ではなく、
その1000年前から形成されてきた日本文化が生み出したモノってことだ。

コメント

  1. Tansney Gohn より:

    まろさん、
    私もこの番組は好きでときどき見ております。最初のころは爆笑太田氏のしゃべりも面白みがあって良いかなと考えていましたが、最近は主役であるはずの先生方よりもしゃべるしピントがずれているように感じて途中でチャンネルを変えることが多くなりました。(氏のしゃべりを聞いていると頭痛がします(笑))。
    先日の放映では、コンクリートのかたまりに光ファイバーを埋めこんだデザインが興味を引きました。プライバシーを保ちながら採光ができますから応用範囲が広そうですね。

  2. まろ@管理人 より:

    太田さんの話は難しい。とくに哲学者の先生と絡むともう訳が分からないです。私はビデオに取って見ているので、途中で見るのやめることがあります。
    今回の放送では、"空っぽ"を"間"に置き換えたりして、珍しくかみ合っていました(笑)
    光ファイバーのコンクリートは、値段と耐震性さえクリアできれば、すぐに実用化できそうですね。