かつてのベストセラー「超訳ニーチェの言葉」。
文庫版が本屋に並んでいたので、いまさら手にとった。
翻訳家の自由訳だから原型をとどめていない可能性はあるが…
「信念がある人というのはなんとなく偉いように思われているが、その人は、自分がかつての意見をずっと持っているだけであり、その時点から精神が止まってしまっている人なのだ。つまり、精神の怠惰が信念をつくっているというわけだ。とんなに正しそうに見える意見も主張も、絶えず新陳代謝を繰り返し、時代の変化の中で考え直され、つくり直されていかなければならない。」
「哲学を持つと一般的に言う場合、ある固まった態度や見解を持つことを意味している。しかしそれは、自分を画一化するようなものだ。そんな哲学を持つよりも、そのつど人生が語りかけてくるささやかな声に耳を傾ける方がましだ。そのほうが物事や生活の本質がよく見えてくるからだ。それこそ、哲学するということにほかならない。」
このあたりはニーチェの思想に近い感じがする。
私なりのニーチェの理解の仕方を簡単にまとめると、
絶対的な価値観の崩壊を「神は死んだ」という言葉で表し、
真理の追求は失望をもたらし「ニヒリズム」に陥ると指摘。
どこかにあるはずの人生の真理を求めるのではなく、
自分を高める道を探し続ける「超人」を目指すべし!と説いた人。
少なくとも上記の超訳にはこの雰囲気が出ているから、
関心を持つきっかけの一冊としては良書と言えそう。
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