ノーベル財団の資産運用

1901年にスタートしたノーベル賞の賞金や運営費は、
アルフレッド・ノーベルの遺産の運用で成り立っている。

独立性を保つために寄付を受け入れていない方針だから、
純粋に資産運用の腕次第、という組織形態は興味深い。

ノーベル財団のウェブサイトで多少は情報が得られる。
年次報告書"Annual Report 2014"によると、
運用資産は38.7億スウェーデンクローナ(日本円で約550億円)。
ポートフォリオは、

  • 株式…55%(国内10%、海外45%)
  • 債券…12%
  • オルタナティブ…33%

2010年以降、過去5年間の資産配分の推移を見ると、
スウェーデン国債を減らし、ヘッジファンドを増やしている。
近年の運用パフォーマンスは好調だが、

  • 2012年…+7.8%
  • 2013年…+15.3%
  • 2014年…+17.8%

1970年代までは運用成績がまったく振るわず資産が減少。
受賞者への賞金額も1940年代から80年代初めまでは、
設立当初の賞金の3割程度にまで押さえる必要があった。

ノーベルの遺言を忠実に守り、
「安全証券(safe securities)」による運用、
にこだわり、
1950年代前半に運用規定が改定されるまでは、

  • 不動産
  • 債券
  • 担保付き貸付

を中心に運用し、
インフレで資産が目減りしたのが原因のようだ。

運用の自由度が増してからは運用成績は年々向上し、
1987年に運用資産、1991年に賞金額が創立時の実質価値を回復。
ノーベル財団が財政的に安定したのはここ2,30年のことだった。
※参照データ…"Table showing Prize Amounts"

最後に私の見解を少々。
最近の運用は調子に乗ってリターンを追求しすぎでは?
現在の1年間の総支出は約十数億円。

  • 賞金(全5賞)…6億円
  • 選考機関の運営費…4億円
  • 授賞式、祝賀晩餐会の経費…2.5億円
  • スタッフ給与など財団経費など…2.5億円

約550億円の運用資産から生み出すリターンをこれに充てる、
と考えるとポートフォリオが無意味に積極的すぎる印象だ。

ノーベル賞より高額賞金の科学賞が相次いで創設されるなか、
これに対抗すべく最大限のリターン確保に力を入れているのか?
それとも単に過去の失敗から債券運用を嫌っているのか?
いずれにせよ、あまり良い傾向ではない気がする。。。