人と自然の関係の具現化。レヴィ・ストロースの見た日本人の仕事観。

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西洋の知で世界を見るな!

そう主張していたレヴィ・ストロース(1908~2009)は、

日本を非常に愛した人だった。

名著「悲しき熱帯」の日本の読者へのメッセージでは、

もし日本文明が、伝統と変化のあいだに釣り合いを保つことに成功するならば、そして、世界と人間のあいだに平衡を残し、人間が世界を滅ぼしたり醜くしたりするのを避ける知恵を持っているならば、つまり日本文明の生んだ賢者たちが教えたように、人類はこの地球に仮の資格で住んでいるにすぎず、その短い過渡期的な居住は、人類以前にも存在し、以後にも存在し続けるであろうこの世界に、修復不能な損傷を引き起こすいかなる権利も人類に与えていない、ということを日本文明が今も確信しているならば、もしそうであれば、この本が行き着いた暗い展望が、未来の世界に約束された唯一の展望ではない、という可能性を、わずかにではあれ、私たちはもつことができるでありましょう。

これだけではピンと来なかったけど、

最近出版された1979~2001年の論考をまとめた

のなかでこんな文章があった。

私は「はたらく」ということを日本人がどのように考えているかについて貴重な教示を得ました。それは西洋式の、生命のない物質への人間のはたらきかけではなく、人間と自然のあいだにある親密な関係の具体化だということです。他の面では、ある種の能の演目でのように、ごく日常的な仕事に詩的価値を付与することによって、それらを顕彰しています。

1977~88年にかけて5度の訪日で感じ取ったようだ。

実は私も最近、レヴィ・ストロースの言う

「人間と自然のあいだにある親密な関係の具体化」

の仕事をしている人に出会った。

たまたま立ち寄った表参道駅近くのオーダー家具屋さん。

店員さんが家具の説明ではなく、木への愛を熱く語り始め…。

休日には神社やお寺へ出かけて木の実を集めるほど木が大好き。

私は家具には正直興味がなかったのだけど、

「こういう社員がいる会社に投資したいんだ!」

と投資家的な思考回路から、大変感銘を受けた。

オーダー家具なんて贅沢するつもりはなかったけど、

ちょうど欲しい家具があったから再訪して注文しちゃった。

少し木材に関心を持ち始めていたところなので、

この機会にもっと踏み込んでみたくなった。

まさに自然との間の橋渡しをしてもらった貴重な体験だった。

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