散る紅葉が冬にずれ込む新古今和歌集

秋は紅葉の季節。
温暖化で2050年の京都の紅葉の見頃はクリスマス頃?
なんて予測もあるそうだが、そのつながりで気になること。

平安時代の後期1000~1200年頃の京都は暑く、
冬に池にはった氷を採取し、山の斜面に穴を掘って氷室へ保存。
そして4月から9月にかけて洛中へ運んでいたという。

世界的な温暖化が日本の歴史を大きく動かしたのはもちろん、
やはり紅葉にも影響を与えていたと思われるデータがある。
勅撰和歌集の秋の巻に収録される和歌の題材を調べたもので、

勅撰和歌集の月と紅葉

秋に最も多く詠まれていた紅葉が、
気候が温暖だったされる時代には首位から転落
している。
秋の巻での紅葉の詠われ方にもちょっと違いがあって、

  • 古今集…紅葉の鮮やかな色を愛でた和歌
  • 新古今集…散る紅葉のはかなさに心重ねた和歌

新古今の時代は紅葉の色付きが悪く、散りやすかったのかも。
そして新古今では紅葉の和歌が冬の巻に収録されている。

神無月 風にもみぢの 散る時は
そこはかとなく ものぞかなしき

高瀬舟 しぶくばかりに もみぢ葉の
流れてくだる 大井川かな

真木の屋に 時雨の音の 変わるかな
もみぢや深く 散りつもるらむ

もみぢ葉を 何惜しみけむ 木の間より
もりくる月は 今宵こそ見れ

温暖化の影響で紅葉が散る季節が冬にずれ込んだ証
和歌集から過去の気候を読み解くのも面白そうだ。


最後に古今和歌集の紅葉の和歌もいくつか。

まずは百人一首にも収録される在原業平の色鮮やかな一首。
この歌の背景については以前紹介したとおり。

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

そして古今集の撰者、紀貫之は色づく紅葉を詠う。

秋風の 吹きにし日より 音羽山
峰のこずゑも 色づきにけり

白露も 時雨もいたく もる山は
下葉のこらず 色づきにけり

もう一首、よみ人知らずの和歌を

散らねども かねてそ惜しき もみぢ葉は
今は限りの 色と見つれば

今が美しさの極みであると分かるから、散る前から惜しい。