真夏の夜の月歌

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日本の月というと中秋の名月など秋のイメージだけど、

和歌集をめくっていたら、夏の月もあることを知った。

月の和歌といえば、まずは西行の「山家集」より。

むすぶ手に 涼しき影を 慕ふかな

清水に宿る 夏の夜の月

影さえて 月しもことに 澄みぬれば

夏の池にも つららゐにけり

手ですくった水に月が映ったのを見て涼しさを感じたり、

月の光が広がった池を氷が貼ったものと見立ててみる。

夏の月見に納涼を求める感覚は西行に限ったものではない。

藤原教長も泉で水をすくい涼みながら氷を感じ、

夜もすがら むすぶ泉に すむ月は

手にもたまらぬ 氷なりけり

藤原長家は月の光に照らされた庭の白砂を霜に見立てる。

夏の夜も 涼しかりけり 月影は

庭しろたへの 霜とみえつつ

昼間は特に暑い夏。

ゆえに陽が落ち、涼しくなる夜が待ち遠しかった。

月がのぼる日であればなおさらだ。

夏は夜。月の頃はさらなり…

という「枕草子」はそういうことなんだろうね。

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