羽生善治「直感力」

守破離
既存の型を守り、型を破って外に出て、型を離れて新たな型を生む。
「離」の局面で必要なものは?

学習の高速道路
ネットの進化によってひかれた「知」の高速道路。
走り抜けた先の大渋滞で、烏合の衆に埋没しないためには?

こうした問いに答えてくれるのが「直感」が持つ力。
そして将棋の羽生善治さんの新刊タイトルが「直感力」。
直感について言及した第1章を簡潔に紹介すると、

多面的な視野で臨むうちに、自然と何かが沸き上がってくる瞬間がある。・・・ある瞬間から突如回路がつながるのだ。この自然と沸き上がり、一瞬にして回路をつなげてしまうものを直感という。だから、本当に見えているときは答えが先に見えて理論や確認は後からついてくるものだ。」P23-24

  • 直感は努力したすべての経験を土壌にして生まれる
  • 直感を生かすには、自分を信じる力が必要
  • 経験を重ね、多様な価値観を持つことで直感は磨かれる

第2章以降は主に直感を磨くための方法が語られている。
羽生さんの7年前のベストセラー「決断力」 からも、
直感について書かれた部分を引いておこう。

直感によってパッと一目見て「これが一番いいだろう」と閃いた手のほぼ七割は、正しい選択をしている。」P58

情熱を持ち続け、努力し続けることで、結果的に直感力やひらめきも生まれてくるように思うのです。将棋だけでなくどんな世界であっても、結局は努力と情熱、モチベーションを継続することが大切なことであろうと思います。」P62

好きなことを追求し続けることで舞い降りる直感。
そして論理を超えた直感から生まれる創造性をつかみたい。

  • 創造しようとするならば、直感に従いなさいレオナルド・ダ・ヴィンチ
  • 常に猛烈なシロウトとして、危険を冒し、直感に賭けてこそ、ひらめきが生まれるのだ岡本太郎

コメント

  1. 赤大将 より:

    さすが羽生さん、長年頂点に立ち続ける
    天才かつ半端ない努力家だけあって仰る言葉に説得力がすごくある。
    直感は、努力・経験の積み重ねで出来上がった自分の中の回路に
    繋がって瞬間的に生まれてくるものだと。
     今解きたい事象について、表層意識下の経験で構築された思考・
    判断回路を通して、「適当」と思われる解答に繋がる経路が見つ
    かって、解答が表層に浮かび上がってくるのが「直感」…?
     とすると、経験の積み重ねは、意識の深いところで自分でもうまく
    説明できないような形で蓄積し結びついていくと思うので、直感が
    導き出される過程を論理的には説明できないけど、論理的に説明が
    できないだけで、紛れもなく自分の知識・経験に基づいて考えた
    今の自分が出せる「最適に近い解」なんでしょうね。
     ただ、どれだけ最適に近い結果が得られるかは自分の知識・経験
    の積み重ねで出来た回路の精度次第だと。

  2. 赤大将 より:

    (続き)
     その点では、科学分野における実験による理論検証と似てると
    ころがあるかもしれません。実験は、理論を仮定して行いますが、
    1回やって結果得て終わりではなく、何度も繰り返して同じ結果
    が得られるかどうか、温度・湿度・圧力・素材・時間等の条件を
    変えて繰り返し、結果が仮定した理論に収束するかどうか調べる。
    そして、結果が理論通りに収束せず理論の不備が見つかって、
    理論が修正されたり、時には数多の実験結果の法則性から逆に
    理論を構築したり。
     自分で読み返しても分かりにくい説明ですが、色んな条件下で
    繰り返す実験が、人間にとっての経験・知識の積み上げに相当し、
    実験結果から法則性を見出して理論を構築する部分が、経験から
    「適当な解」を導き出す直感にあたるのかなと。
     実験結果から導いた理論は、結果から推定した「仮定」なので
    論理的な説明は難しいが、多数の実験結果から導いたものなので
    それなりの妥当性はある。経験の積み重ねの回路から導かれる
    直感の結果と似ている気がする。そして、実験からの推論は、
    様々な条件で実験を繰り返してこそ信頼性が備わる。直感は、
    多方面の多くの経験を積み重ねてこそ直感が生まれやすくなる。
    この記事を読みながらひとりそんなことを考えてました。
    まとまりないまま長々と失礼しました。

  3. まろ@管理人 より:

    「実験結果から導いた理論は、結果から推定した「仮定」なので
    論理的な説明は難しいが、多数の実験結果から導いたものなので
    それなりの妥当性はある。」
    って部分が少し気になっていて、
    「それなりの」の部分を「ほぼ完璧に」みたいにはき違えて、現代社会はいろいろおかしくなっている印象を持っています。
    今読み進めているウルリヒ・ベック「危険社会」に、ここを読み解く方法が書かれているように読めるので、また何か記事にしますね。