日本の敗戦を織り込んでいた株式市場

かつてのベストセラー

が文庫化されていたので、
山川出版社の「詳説日本史図録」を参照しながら読んだ。

満州事変から太平洋戦争へと突き進む意思決定の過程が、
今までどうにも理解できなかったのだが、
中高生向けの講義の書籍化ということで分かりやすかった。

「まさか!」という読み違えの連続で選択肢が狭まっていく過程は、
現在ベストセラーになっている応仁の乱に近い感覚を覚える。

読みの手数の少なさゆえに、悪い方向へ進んでいってしまうような…。

そして誤手を指したことを認識し、引き返すことができたのに、
天皇の許可を撤回しては、その権威にキズが付くからと軌道修正ができない。

もちろんすべての人々が大局観を失っていたわけではない。
退役軍人の水野廣徳は、国家の重要物資を輸入に頼っている以上、
持久戦、経済戦で負けるから日本は戦争をする資格がないと主張。

また太平洋戦争中も続いていた日本の株式市場の動向から、
終戦の半年前から戦後を見越した投資家がいたことが伺い知れる。

1945年2月から、軍需工業関連ではないもの、これは当時の言葉で民需といったのですが、民需関連株が上がります。具体的には、布を機械で織る紡績関連の株などが上がりだしたというのですね。・・・船舶もどんどん撃沈されて、43年あたりからは民間の船などはもう目も当てられない惨状になる。船舶を建造する鋼材も走らせる燃料もない、発動機もない。それなのに船舶関連の株が上がってくる。これはなにか、戦時から平時に世のなかが変化するのではないか、そのような見通しを確かに立てた人間がいて、株価が上がっていったのではないかと考えられます。」P458

だから日本人は愚かな民族だと自虐史観に走るのではなく、
正しい見識を持った人がいるにもかかわらず、
最終的に誤った意志決定をしてしまうのはなぜなのか?

シャープや東芝の没落にもつながるように思え、
日本の近現代史についての本をもっと読んでみたくなった。